メン・イン・ブラック(97/米)

メン・イン・ブラック映画『メン・イン・ブラック』はエイリアンをテーマにした異色のSFコメディです。エイリアンがすでに地球にいるという前提で描かれている点がユニークですね。それまでの映画は、異星人との“邂逅(かいこう)”をテーマにしたり、異星人を単に“敵”と見なして戦うといった作品が多かったように思います。地球人とエイリアンが一部とはいえ“共存”している。それまでの作品にはない新鮮さを感じました。MIBの仕事は地球にいるそんなエイリアンたちの動きを監視することです。

ちょっと強面(こわもて)のトミー・リー・ジョーンズが大真面目に演じている姿はそれだけでユーモアがあり笑えますね。かれは“K”と呼ばれる凄腕のMIBエージェントで、体力の限界で引退した同僚“D”の後任に、若くてガッツのあるNY市警のジェームズ(ウィル・スミス)をスカウトします。エイリアンの存在を否定し、MIBのエージェントに関心のなかったジェームズも、“K”と行動を共にして、ふしぎなエイリアンたちを目の当たりにするにつれ、しだいに考えが変わっていきます。「1500年前まで人間は地球を宇宙の中心と考え、500年前まで地球は平らだと信じ、15分前まで君はエイリアンの存在を信じていなかった。人間の常識なんて、はかないものさ」と、“K”がジェームズに話すシーンが印象的でした。こうしてジェームズはエージェント“J”としてMIBの一員になります。

そんなMIBに危機が訪れます。“バグ”と呼ばれる虫族のエイリアンが、地球に“不法侵入”してきたのです。バグはほかの種族を食いつくし絶滅させてしまうエイリアンでした。農夫を襲って人間に姿を変えたバグの狙いは、NYで宝石店を営むアルキリアン星人の、王族の宝物でした。そのお宝は宇宙のエネルギーが凝縮されたものだったのです。バグに“宝物”を盗まれたアルキリアン星はMIBに対して“宝物”を取り戻さなければ地球を破壊すると脅し、戦艦を地球付近に配備。物語の焦点は“宝物”をめぐるMIBとバグとの戦いに移っていきます。

アメリカは“人種のるつぼ”で多国籍の人々が暮らし、不法移民の問題もあります。そういった不法移民の問題を抱えた国が、エイリアンの“不法移民”を取り締まる映画をつくったというところがおもしろいですね。エイリアンは住む場所まで決められていますが、それはまるでインディアンの居住区のようです。『メン・イン・ブラック』は現代のアメリカ社会のパロディかもしれない。そんなふうに思えて仕方がありません。

メン・イン・ブラック@映画生活




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